ジョゼというサキュバスの情報は、案外あっさりと入手する事ができた。
自分の屋敷から半日ほど空を飛んで、リックス地方に無事たどり着き、
そこで情報収集もかねて、地元の美味しいものを食べていたら、
皆が皆、口をそろえて、この地方に住むサキュバス親子の事を口にしていたからだ。
「ここら辺じゃ有名だよ、中には夢の中でも襲われたって奴もいたな」
「正直母親の方が好みだった。もう一度だけでいいからあの体に包まれて逝きたい、死んでもいい」
「俺は断然娘派、ジョゼちゃんマジかわいい」
リーネの体に抱きつきながら、胸の谷間に埋もれながら、または足で踏まれながら、
あらゆる所で、様々な人間がサキュバスについて意見を述べていた。
もちろん、これらの人間は最終的に
「ねぇ、私とそのサキュバス……どっちが良かった?」
「それはもちろんリーネ様です……だから、お願いだから逝かせてください!」
といった感じで自分をちゃんと評価してくれた、この地方のものは中々に美味しい。
情報収集を終え、少し疲れたのでお世話になった男の家で一眠りし。
(当然、ベッドを提供してくれた男には相応のお礼をちゃんとした、
男はベッドの上で満足そうに眠っている、運が良ければまた目覚める事ができるだろう)
月明かりが照らす夜空の下、
今、リーネの眼下に噂のサキュバス、ジョゼの屋敷がある。
「あら、これはどういう事かしら」
不思議な事に、ジョゼの屋敷には遠くから見てもわかるぐらい、多数の人間やサキュバスの姿があった。
これは一体どういう事なのか、リーネは空の上、顎に手を当てて考える。
「あなたも遅刻組?」
考え始めてすぐ、背後からの突然の声にリーネの思考は中断された。
振り返ると、ここは空の上なので当然だが、同族であるサキュバスが少し息を切らした様子でこっちを見ている。
「私もそうなのよ。ちょっと餌と遊びすぎちゃって、気づいたら空真っ暗」
「ええと……あなたも、ジョゼっていうサキュバスに用があるの?」
何故、ジョゼの屋敷にサキュバスが集まってきているのか、今日は何か特別な事があるのか。
なんでもいい、少しでも情報が欲しかった。
「うーん、正確にはジョゼが用意した人間ね。
こういうパーティーで多数の餌をみんなと味わう、あなたもそういうのが好きでここに来たんでしょ?」
「そ、そうね……そういうのも悪くはないわね」
喋った言葉とは裏腹に、リーネは少し戸惑った。
正直、他のサキュバスと一緒に食事なんて今まで考えた事がなかった。
生まれてからずっと、小さい時から食事は餌と一対一で、
たまに一対複数で、サキュバスの誇りと責任をもって全力でその命を受け入れていた。
「あ、こんな事喋ってる場合じゃないわね。あなたも急がないと用意された餌が無くなっちゃうわよ」
すれ違いざまに軽く肩を叩くと、親切なサキュバスは笑顔を見せながら地面へと降りていった。
「とりあえず、何かパーティーが行われているみたいね」
なら、どのような理由でパーティーを開くのか。
リーネは考え、すぐに結論を導き出した。
「そうか、そういう事ね。うん、全てわかったわ」
これは自分、わざわざ遠い地方からやってくるサキュバス、リーネに対する歓迎パーティー。
離れた所に住むサキュバス同士の文化交流の為に、わざわざジョゼがセッティングしてくれたのだ。
だとしたら、少しベッドの上で寝過ぎた、楽しみすぎた。
せっかくのパーティーの主賓が遅れてはジョゼに悪い、急いで屋敷の中に入ろう。
何故、自分がここに来る事をジョゼが知っているのかわからないが、多分なんらかの手段で知ったのだろう。
大きな扉を開け、ジョゼの屋敷の中に入ると、そこでは数多くのサキュバスが立食形式で食事を楽しんでいた。
エントランスだけではない、少し遠くの部屋を覗いてみても、
そこでは目隠しをされた餌が張り付けにされ、その前で何匹ものサキュバスが談笑し、楽しく精を搾り取っている。
「こういうのも、案外悪くはないわね」
このようなパーティーに参加するのは初めてだったが、リーネは自分の胸が自然と高鳴っていくのがわかった。
それは目の前に、食べ放題の多数の餌が用意されているというのもあったが、
それ以上にジョゼが、自分の為だけに、このような大規模なパーティーのセッティングをしてくれた事が嬉しかった。
「いけないわ、ここは浮かれすぎないよう気をつけないと駄目ね。なんだか緊張してきたわ」
慣れないパーティーで恥をかかないよう、自分自身に注意をする意味で、リーネは自分の顔を軽く叩いた。
「うん、大丈夫。落ち着いて、いつも通りの私でいればいいの」
ジョゼに会うのも大事だが、まずはサキュバス同士の交流を楽しもう。
リーネの視線の先に、張り付けにされている一人の餌と、二匹のサキュバスの姿があった。
「あれ、えい……駄目だ、もう何もでなくなっちゃった」
「ええー、私まだ全然食べてないのに……なんとかしてよ」
「叩いたらもう少しだけ出るかも……ほらっ、へばってないで、とっととそれ立たせろよ」
目の前で、二匹のサキュバスが餌を前に困っているのが見える。
二匹とも見た目から、まだ子供のサキュバスのようで、
大人サキュバスの目から見ても、餌の精を搾るその動きは辿々しかった。
「ハァーイ、あなた達どうしたの?」
パーティーの主賓らしく、また先輩サキュバスとしての威厳を持って、精一杯の笑顔で話しかけてみた。
「ん?」
「……うーん、まだでないなぁ」
挨拶が通じなかったのか、片方のサキュバスに変な目で見られてしまった。もう一匹は完全にこっちを無視している。
「あ、そうか。あなた達は私が誰か知らないのね」
いきなり見知らぬサキュバスに話しかけられたら、それはビックリするだろう。
まずはわかりやすく、サキュバスの力を持って自己紹介した方がいいのかもしれない。
「いい、こういう時は無理に出そうとしちゃ駄目。餌には優しく接しないと駄目よ」
サキュバス二匹に精を搾られ、精が出ずに焦っている餌。
怯えたその顔を、リーネは両手でそっと包み込んだ。
「ほら、震えちゃってるじゃない。こんなんじゃ逝けないわ」
「こいつのちんちんが駄目なだけだよ。えいっ、早く大きくしろよ」
「むー、シコシコしてるのに全然精液でないよ」
一匹が体を叩き、もう一匹がペニスを手で擦っているが、
餌はうめき声をあげるだけで、精を出す兆しも見せない。
「ふふっ、そういうのも喜ぶ餌はいるんだけどね。この子は違うみたい……」
リーネは餌の不安を一個ずつ取っていくように、やさしく、丁寧にその頭を撫でる、
「うん、そろそろいいかな……んっ」
餌の震えが収まったのを確認すると、リーネはそのまま静かに唇を重ねた。
「んっ……どう、サキュバスの本気のキスは美味しいかしら……」
「うわぁ……なにこのエロいキス……」
「なんかクチュクチュ音が鳴ってるよ……あっ、ちんちんが大きくなってきた」
唇越しに、リーネは餌の体温が上がってきたのを感じることができた。
この餌は、もっとサキュバスに精を捧げたかったのだろう、自分はその手伝いをしたにすぎない。
「ほら、私が優しいキスで餌を抑えてるから。好きなだけ精液を搾ってあげなさい」
「う、うん」
二匹の幼いサキュバスが、先程までと違って尊敬を込めた眼差しでこちらを見ているのがわかる。
正直気分が良かった。もっと、この餌に熱いキスをして精を出してあげよう。
「わっ、わっ……どんどん精液でてくるよ」
「ただの駄目ちんちんかと思ったけど、お前もやればできるじゃん」
「違うよ、このお姉ちゃんが凄いんだよ……んーっ、美味しい」
自分がキスで口を犯す度、幼いサキュバスがペニスを刺激する度、
餌が歓喜のうめき声を上げ、精液をどんどん吐き出しているのがわかった。
「まぁ、後二百年ぐらい頑張って自分を磨けば、あなた達もこれぐらいできるようになるわよ」
再び、リーネの手の中で餌が震え始めた。
限界が近づいてきたのだろうか、なら、最後に面白い事をしてあげよう。
「うーん、そろそろ逝っちゃいそうね。ねぇ、そこのあなた」
「ん、何?」
「さっきみたいに、思いっきり餌を叩いてみなさい。もう、思いっきりやっちゃっていいわ」
「うん、やってみるね!」
目を輝かせ、素直に言うことを聞いてくれる幼いサキュバス達、
こういうのも悪くない、意気揚々と足を振り上げた一匹の淫魔を見てリーネは思った。
「ねぇ、本当にやっちゃっていいの?」
「いいわよ。ほら、この餌もこんなに震えて待ってるじゃない、早くやってあげなさい」
「うん、じゃあ行くよー」
餌を少しでも気持ちよくさせるために、口を塞いでおこう。
三匹のサキュバスにキス、フェラ、キックまでされるなんて、なんてこの餌は幸せなのか。
「ええい!」
バチン!と鞭で叩いたような鋭い音が響き、餌が大きなうめき声をあげる。
「うわっ、凄い声……ねぇ、もう一回蹴っていいかな」
「いいわよ、何回も蹴りなさい」
「うっかり私を蹴らないように気をつけてね、んっ……」
「えいっ、えいっ、えいっ、このマゾ人間! サキュバスに蹴られて逝っちゃえ!」
一回どころか何回も、サキュバスの幼い脚が容赦無く餌の体にめり込んでいく。
「ふふっ、あなた本当に嬉しそうな顔してるわね。餌を蹴るの楽しい?」
「うん! それじゃあ最後に大きいのいこうかな、ちょっとどいて」
「いいよ、さすがにお腹いっぱいになっちゃった」
フェラをしていた、もう一匹のサキュバスが場所を空けると、
顔を赤らめ興奮したサキュバスの前に、男の無防備なペニスが晒し出された。
「うわぁ、楽しみだなぁ。どんな声あげるかな、どんな風にぶっ倒れてくれるかなぁ」
「さ、抑えてるから。思いっきりやってあげなさい」
「うん!」
幼いサキュバスが元気よく返事をした瞬間、餌の口からやめてと聞こえた気がした。
もしかして自分が抑えつけたりせずに、餌自らの意思でサンドバックになりたかったのだろうか。
もしそうなら、少しこの餌に悪い事をした。
「てぇーい!!」
幼いサキュバスのか細い脚が、無抵抗の餌のペニスにめり込む。
瞬間、餌は聞いたことも無いような声を上げ、
口から体液を撒き散らし、そのままがっくりと項垂れ動かなくなった。
「わぁ! 逝った、ねぇ、この餌逝っちゃったの!!」
「んー、残念ね。まだ息はあるわ、気絶しただけみたい」
「やった! 目が覚めたらまた思いっきり蹴っ飛ばしてあげよ♪」
「いいなぁ、次は私もやってみよ」
気絶した餌を前に、二匹のサキュバスが嬉しそうに感想を語り合う。
これで、この二匹は大丈夫だろう。
リーネはサキュバス達の頭を軽く撫でると、その場からそっと離れた。
「あ、お姉ちゃんありがとね!」
背後からお礼を言う無邪気なサキュバス達に、リーネは振り返る事なく、手を上げて答える。
こういうサキュバス同士の交流も悪くない、本当にここに来て良かった。
「あなた何やってるのよ!」
再び自分に対するお礼の声がした、そんなに何回も言わなくてもいいのに。
振り返ると、そこには先程の素直な二匹のサキュバスではなく、
金髪でショートカットの、なんだか素直じゃなさそうな一匹のサキュバス、
その横には何処かで見たような、素敵な一人の少年が立っていた。