サキュバスの巣に囚われて

それは、先ほど見た二匹のサキュバスと、一人の男のなれの果てであった。

「うふ、あっ、あぁ、あんっ! あはっ、また逝った、この勝負は私の勝ちね」

男は体をわずかに動かし、射精を迎えたという事を周りの二匹にアピールする。

一体あれから何回果てたのだろう、二匹の淫魔の下半身には、おびただしい量の精液が付着している。

それらの精液を一人で出した男は口をわずかに動かし、二匹の気まぐれなサキュバスに何かを伝えようとしていた。

「………もぅ………むりです………しんじゃう………」

「この獲物もこう言ってるんだしさ、もう止めましょうよ。

 まぁいろいろあったわけだけど、最後に射精をさせた私が勝ちって事にしてさ」

大きく息を弾ませながら、この男の元々の主であるサキュバスが勝ち誇る。

「嫌、そんなのじゃ私納得しない」

顔を膨らませ、怒りの意志を示しながら、幼いサキュバスは張り付けにされている男に近寄った。

体を精一杯伸ばし、その小さな顔を男と同じ高さに合わせると、

落ちないようにしっかりと男の体にしがみつきながら、その唇へ口づけをした。

唇を通して、幼いサキュバスの唾液が男の体へと送り込まれていく。

それと共に、繰り返される射精で枯れかけていた男のペニスはあっという間に起きあがり、大きく蘇っていった。



「んふっ、そうだよ、もっともっと気持ちいい事をしよ、ね」

「あ………あ………なに、これ………痛………怖い」

自らの勃起したペニスを見て、男は恐怖の声を上げる。

蘇ったペニスは赤黒く、尋常ではない勢いで膨張しており。

サキュバスの唾液によって生み出されていくこの勃起が、通常とは違う、明らかに異常な生理現象である事を現していた。

「ほら、まだまだこんなに大きいよ。これならまだ逝けるよね、ほら一緒に頑張ろ!」

「何言ってるのよ、唾液で強引に起たせただけじゃない。

 それやると獲物がすぐ死んじゃうのよ、止めなさいって」

「ふーん、負けるのが怖いんだ?」

いじわるそうな笑みを浮かべ、幼いサキュバスは年長の淫魔を挑発していく。

「ちょっ、何言っているのよあんた。

 ただそれは久々に捕まえた獲物だから、死んじゃったら困るのよ」

「へー、困るんだ、本当にそれだけ?

 まぁいいよ、起っちゃったものしょうがないし。

 じゃあこれで逝かせたら、私の勝ちで終わりって事でいいよね」

男の体にしがみついていた幼いサキュバスは、その小さい体をするすると降ろしていく。

中程まで降りたところで、体を傾けながら手を伸ばし、自らの唾液の力でいきり起ったペニスを掴むと、

それを器用に陰部へと導き、くわえ込んでいった。

「さ、これが最後になるかもしれないから頑張ろ」

男にしがみつく幼い体は、上下に動き始めた。

明らかに普通でない勃起感に、止まらない快感、男の顔は恐怖で染まる。

「止めてくれ………駄目、これ以上出したら………本当に………」

男は視線をもう一匹のサキュバスへ送り、これ以上は無理だと、最後の助けを求めた。

が、助けを求めたサキュバスの瞳は熱く燃え、やる気でみなぎっている。

「何こっちみてるのよ。

 そんな事してる暇があったら早く逝きなさい、次は私の番なんだからね」

「なんだ、あれだけ言ってたのにまだやるの?」

「当たり前よ、あんたみたいな小淫魔に負けるわけいかないじゃない。

 さっさとそこの獲物を逝かせて、私に変わりなさい」

「そんな………」

男にしがみつく幼い淫魔の体は激しく上下に動き、恐怖に怯える獲物の精を搾りとろうとする。

迫り来る絶頂に怯えながら、男はうわごとのように何かつぶやいていた。

「まだ………し、しにたく………ない………」

「ふふ、あんまり我慢させてもかわいそうだから、そろそろ逝かせてあげるね。えいっ♪」

幼いサキュバスが下半身に力を入れると、その小さいお尻がグッと上がった。

「あ、いや、あ、あ………ギァアアア!」

広間全体に、男の絶叫にも近い大きな声が響いた。

とたんに男の下半身が大きく波打ち、ペニスによって繋がれている幼いサキュバスは一瞬振り落とされそうになる。

幼いサキュバスの陰部から、再び大量に精液が溢れ、地面へしたたり落ちていった。

何度目になるかもわからない射精を迎えた男は、ただビクビクと体を波打ち続けている。



「はぁ………ん、気持ちいい」

ペニスを咥えこんだまま、獲物の射精の余韻に浸り、幼いサキュバスは彷徨の表情を見せる。

そんな様子が気にくわないのか、その体はもう一匹のサキュバスの手ですぐさま引き剥がされた。

「あん、ひどい、もう少し楽しませてくれたっていいじゃない」

文句の声を無視し、サキュバスは早足で男の元へと駆け寄っていく。

「次は私の番よ、負けるもんですか。

 ほら、あんたも気絶してないで、さっさとそれを起たせなさい。

 なんなら、私もあなたにキスしてあげましょうか、気持ちいいわよ、私の口づけ」

主人に急かすように話しかけられるが、男は反応しない。

「起きなさいって、このままじゃ私がそこの小淫魔に負けちゃうじゃない」

サキュバスは男の顔を叩き、その体を揺さぶるが、それでも獲物は動かない。

「もう、どうしたのかしら」

「私の中が気持ち良すぎて、逝っちゃったのかな、えへへ」

先ほどの射精の余韻がまだ抜けないのか、後ろから幼いサキュバスが気持よさそうに喋る。

そんな仲魔をきっと睨みつけながら、サキュバスは確認の為、男の手枷を解いていった。

今まで体を縛り付けていた戒めが解けると、男の体は糸が切れた操り人形のように地面に崩れ落ちていく。

地面にうつ伏せになり倒れ込んだその体は、やはりピクリとも動かない。

そんな男を見て、サキュバスはポツリとつぶやいた。

「あら本当、死んじゃったわ」



視界に飛びこんだ惨劇に、アルコの体は動かなくなる。

それと共に今の自分が置かれている状況を再認識し、狂気の宴から現実に引き戻された。

止まっていた思考が蘇り、危機を告げながら体中を駆け回っていく。

再び首輪が引っ張られた。視線を降ろすと、そこではサキュバスが脚を広げ自分を誘っている。

だが今のアルコには、その姿に誘惑される事も興奮する事もなく、恐怖だけしか感じなくなっていた。

少しでもこの淫魔から離れなければ、静かに足を背後へすり動かし、

気付かれないように、こっそり、淫魔の美しい二つの脚の隙間から、逃れようとする。

「駄目、逃がさないわよ」

サキュバスの腕が鎖を強く引っ張り、アルコの体はサキュバスの元へと強引に引き寄せられた。

同時に、すらりと伸びた美しい脚ががっちりとアルコの背後で組まれ、上半身を捕まえると共にキツく締め上げる。

二つの強い力に体を縛られ、アルコはそのままサキュバスの上へと倒れ込んでしまった。



その6へ



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